2018年5月10日

翻訳ジョーク考№17(空の旅)

 今回は「翻訳ジョーク考」の第17回目です。

 

 使う本は、Fred Mecalf氏編The Penguin Dictionary of Jokes(UK版)です。

 今日の記事は114ページ16番目のジョークに決まりました。

 カテゴリーは「空の旅(Flying)」で、試訳は以下の通りです。

 

空の旅:14

 

Q:飛行機がいつ乱気流にぶつかるかなんてあなたどうしてわかるんですか?

A:そりゃスチュワーデスがコーヒーを給仕し始める時ですから。

 

Flying : 14

 

Q: How can you tell when the plane is about to hit turbulence?

A: It's when the stewardess starts to serve coffee.

(The Penguin dictionary of jokes, wisecracks, quips and quotes, compiled by Fred Metcalf, Penguin, 2009, p.229.)

 

 たいへん秀逸な、ストレートに伝わってくるジョークですね。

 

 それにしてもずいぶん意地悪なサービスですが、もしかしたら乗客のマナーがあまりにも悪いのできっと仕返しすると見越しているのでしょうか。

 今日飛行機にお乗りになる方は、キャビンアテンダントの方がコーヒーの準備をし始めたらお気をつけください。笑

 

 とりあえずこのジョークについて言うべきことはあまり何もなさそうなので、歴史的側面を見るためにここでは「スチュワーデス」という名前の由来について確認をしておきましょう。

 例によってコトバンクで「客室乗務員」について調べてみるといくつか解説がありますが、呼称についての詳しい記述があるものを二つだけ引用してみます。

(コトバンク参照元はこちら。)

 

 まずは『ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典』の解説です。

 

旅客機の機内で乗客の世話にあたる乗務員。乗客の案内をはじめ,飲み物や食事のサービス,緊急時の避難誘導を行なう。世界最初の機内司厨サービスは 1929年パリ-ロンドン間で男性の乗務員によってなされた。また女性の乗務員は,1930年アメリカ合衆国で,ユナイテッド航空の前身ボーイング・エア・トランスポートの定期便に搭乗したのが初めて。機内で気分が悪くなった乗客の世話をするのが目的で看護師として乗ったものだが,女性によるサービスが乗客の人気を集め,集客にも貢献した。第2次世界大戦後は旅客機が大型になり長距離を長時間にわたって飛ぶようになったため,客室乗務員の役割が高まり,大型機では接客業務全般を指揮するパーサーを置くようになった。かつて女性の乗務員は「エアガール」「エアホステス」「スチュワーデス」,男性の乗務員は「スチュワード」と呼ばれたが,1980年代以降,性別を問わない呼称が正式に用いられるようになった。「フライトアテンダント」「キャビンアテンダント」「フロアアテンダント」と呼ぶ場合もある。

 

 次に『日本大百科全書(ニッポニカ)』(小学館)の解説です。

 

1922年4月、イギリスのダイムラー航空(現、ブリティッシュ・エアウェイズ)が客室乗務員を最初に導入したといわれる。その後、各社に、保安や機内サービスなどの専門業務を行う「スチュワード」として広まっていった。1930年アメリカのボーイング・エア・トランスポート社が初めて女性客室乗務員「スチュワーデス」を導入した。日本では1931年(昭和6)日本航空輸送株式会社が「エア・ガール」を採用したのが始まりである。 

 かつては女性乗務員をスチュワーデス、男性乗務員をスチュワードとよんでいたが、1980年代以降は男女の区別がある職業名称を男女共通の名称に変える傾向があり、スチュワーデス、スチュワードともフライト・アテンダント(FA)、キャビン・クルーなどとよばれている。また、キャビン・アテンダント(CA)は、日本で定着したスチュワーデスにかわる通称である。[松下正弘]

 

 二つの記事を合わせてみますと、1922年にイギリスのダイムラー航空が「客室乗務員」を最初に導入して、1929年に航空会社は明記されておりませんがパリ―ロンドン間で機内での食事サービスが男性乗務員によって開始したらしいということがわかります。

 さらにその他にも、保安業務には男性の「スチュワード」が看護業務には女性の「スチュワーデス」が割り当てられていて業務の住み分けがあったという指摘ですが、これらを読む限りでは後者に集客効果があったので広まったということで良さそうです。

 

 おそらくそのために付いた名前が、女性の乗務員であることを明示する「エアガール」「エアホステス」「スチュワーデス」だったという流れなのでしょう。

 それにしても、「スチュワーデス」を使用することが好ましくない現在の感覚では、「エアガール」とか「エアホステス」はもはや考えられませんね。

 私は残念ながらテレビにかじりついて見ていた世代よりやや遅れますが、ここで『スチュワーデス物語』などと言うと、「憧れの職業」になさっていた方には懐かしいかもしれませんね。

(『スチュワーデス物語』Amazon商品リンクはこちら。)

 

 ところで、飛行機ものというのはある意味でジャンル・ホラー作品の宝庫でもありますが、私の記憶に焼きついているのは定番中の定番であるスティーヴン・キングの『ランゴリアーズ』です。

(『ランゴリアーズ』出版社サイトはこちら。)

 

 リンク先の写真に文庫版の帯が写っておりますが、そこには「警告!飛行機の中で読むべからず!」と惹句があって読者心をくすぐります。

 この作品は前後編90分ずつのTV映画にもなっていてDVDでも見られますので、もしかしたらこちらの方を見たことがあるという方もいるかもしれません。

 SFミステリーなのでネタバレするようなことはここにはなにも書けませんが、飛行機の中で読むのもオススメですよ。

 

 それではまた次回お会いしましょう。

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